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甲山寺の襖絵

ページID:0014768 更新日:2015年7月12日更新 印刷ページ表示

四国88カ所霊場開創1200年の記念事業・襖書「般若心経曼荼羅」「甲山甘露慈雨」「雲龍瑠璃光」

甲山寺では、四国88カ所霊場開創1200年の記念事業として、襖書「般若心経曼荼羅」「甲山甘露慈雨」「雲龍瑠璃光」を製作しました。
作者は岡本光平氏。空海の書体である、万象篆により襖36枚を使い『般若心経曼荼羅』を、万象篆のうち垂露で襖8枚を使い『甲山甘露慈雨』を、そして飛白体により8メートルにわたる作品、『雲龍瑠璃光』を完成させました。
このすばらしい作品たちを少しだけ紹介します。

襖絵写真1

「甲山甘露慈雨」の間

まずは「甲山甘露慈雨」。こちらの極彩色で描かれた作品が万象篆のうち垂露で描かれたものです。彼岸に降る甘露の恵みの雨が表現されています。白黒から極彩色へと反転し、極楽安寧の世界へ到ります。雨は讃岐の地にとっては格別な意味を持つものであり全体は甲山寺のある甲山の姿を現しています。(甲山寺解説より)

襖絵写真2 襖絵3

「三世光明壽」の間

般若心経の襖書三十六枚のうち、起承転結の「転」にあたります。三世つまり過去、現在、未来にわたって正しく目覚めたならば、あらゆる誤った考え方から遠く離れているので永遠に静かな境地いられる、と力強く「空のこころ」が説かれた部分です。一切の迷いを払うべくダイナミックで一気呵成の筆遣いが展開されます。(甲山寺解説より)

襖絵写真5 襖絵写真6

「捨身五岳峯」の間

甲山寺の背後には捨身ヶ岳のある我拝師山を中心に五岳の山並みが広がっています。捨身ヶ岳は、幼い空海が身を投げた時にお釈迦様が現れてその身を救ったという伝説の場所です。
正面の左右を含む計十二枚の襖の書は五岳の峰々の稜線を模した構成になっています。(甲山寺解説より)

襖絵写真7 襖絵写真12

「不動無量壽」の間

正面の襖の奥には不動明王が安置され護摩壇が設けられております。
お不動様の憤怒の形相は破邪顕正の象徴であり、慈悲をもって私たちの永遠の安心をご加護くださいます。

(甲山寺解説より)

襖絵写真20 襖絵写真15

「雲龍瑠璃光」の間

左手の漆喰壁の本堂は約四百年前の建築で、平安時代の薬師如来が安置されております。お薬師様は東方瑠璃光明如来とも申されます。
襖と壁面に描かれた弘法大師伝来の飛白体(ひはくたい)は、現代的な抽象表現におきかえて数匹の龍が宙を舞うがごとく般若心経の書き出しを荘厳(じょうごん)しています。(甲山寺解説より)

襖絵写真25 襖絵写真30

最後の飛白体は龍を表現しているとのことです。
龍といえば雨の神様です。
弘法大師はまんのう池改修を指揮監督しました。
満濃池改修に際し、工事の無事のために祈願し、この地にお堂を建てたそうです。これが、この甲山寺のはじまりだとか。
当然、改修された池には水がたたえられるよう祈られました。今回の作品では、弘法大師の書体である飛白体を用いています。飛白体で描かれた龍は、まるで創建時の弘法大師の想いが表現されているかのようです。

なお、襖の枠を飛び出した豪快な作品は見応えがありますが、作者の岡本氏は漆喰に作品を描いたのは初めてとのことです。
きっと、四国88カ所霊場開創1300年の記念時にはさらに貴重な作品となっていると思います。弘法大師のエピソードとともに大切にしていきたいですね。