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善通寺市デジタルミュージアム 善通寺伽藍 足利尊氏の利生塔
善通寺伽藍 足利尊氏の利生塔
五重塔の南東、東院の境内隅にある石塔が「足利尊氏の利生塔」です。暦応元年(1338年)、足利尊氏・直義兄弟は夢窓疎石(むそうそせき)のすすめで、南北朝の戦乱による犠牲者の霊を弔い国家安泰を祈るため、日本60余州の国ごとに一寺一塔の建立を命じました。寺は安国寺、塔は利生塔と呼ばれ、讃岐では安国寺を宇多津の長興寺に、利生塔は善通寺の五重塔があてられました。利生塔は興国5年(1344年)、善通寺の僧正・宥範(ゆうばん)によってもうひとつの五重塔として建てられましたが、焼け落ちた後、高さ2.8mの角礫凝灰岩(かくれきぎょうかいがん)の石塔が形見として建てられています。
近くには法然上人ゆかりの逆修塔(ぎゃくしゅとう)があります。逆修とは生きている内にあらかじめ仏事を修め自らの死後の冥福を祈ることで、法然上人が善通寺に詣でた時に、参拝者の後世の往生を祈って建立されたと伝えられています。このように善通寺の境内には、利生塔だけでなく、さまざまな歴史の痕跡が残されています。
所在地
善通寺町3-5
JR善通寺駅から歩いて約15分。
総本山善通寺東院にある。