ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

本文

五岳山(讃岐ジオサイト)

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年1月14日更新

讃岐ジオサイトについて(五岳山)

皆さん、「ジオサイト」をご存じでしょうか。ジオサイトとは地球活動の痕跡が特徴的に表れている地形や地質を指す言葉です。
善通寺市にもこのような興味深いジオサイトが存在します。たとえば、五岳山です。
これについて、2013年に香川大学の長谷川教授が詳しく調査し解説した報告書があります。今回はこの報告書を掲載します。みなさんの地域にある魅力を再確認するのに役立てていただければと思います。

1.弘法大師空海ゆかりの善通寺五岳山

善通寺五岳山は弘法大師空海御誕生所である四国八十八ヶ所75番札所善通寺の西側に連なる山々で、香色山(こうしきざん)・筆ノ山(ふでのやま)・我拝師山(がはいしさん)・中山(なかやま)・火上山(ひあげやま)の五山が並んでいます。まるで屏風のように山々が連なっていることからかつては讃岐国屏風浦と呼ばれていました。五岳山のうち最も標高の低い香色山(標高157m)は総本山善通寺の裏山で、四国霊場八十八ヶ所をなぞるミニ遍路があります。別名「どんど山」と呼ばれる筆ノ山(296m)を挟んで、最も標高の高い我拝師山(標高481.2m)があります。我拝師山山頂は空海が幼少の頃に身を投じたという伝説のある「捨身ヶ岳」があり、讃岐岩質安山岩の断崖絶壁となっています。火上山(標高408.9m)の名前は昔のろし台が置かれたことに由来するともいわれています。中山(標高438m)と火上山の間には平安時代に建てられた山岳寺院大窪寺跡や前方後円墳が残っています。香色山,筆ノ山はミニ富士山の山容をしています。我拝師山もミニ富士の形をしていますが、北斜面では岩盤崩壊が発生し、崩落した岩塊および土砂からなる崖錐斜面は果樹園として利用されています。

2.地形と地質

善通寺五岳山には、約9000万年前(中生代白亜紀後期)の花崗岩類を基盤として、1300万年前~1500万年前(新第三紀中新世)に噴出した瀬戸内火山岩類(讃岐層群)が分布しています(図1)。香色山は流紋岩が貫入した火山岩頸(かざんがんけい)、また筆ノ山、我拝師山および中山は讃岐岩質安山岩(両輝石安山岩)が貫入した火山岩頸です(図2)。これに対して、火上山は讃岐層群起源の凝灰岩類を讃岐岩質安山岩がほぼ水平に覆うキャップロック構造をしています(図2)。火上山から中山にかけての北斜面では凝灰岩類をすべり面として、凝灰岩類と上位の讃岐岩質安山岩に地すべりが発生しました。地すべりによってできた緩斜面は果樹園として利用されています(図3)。 

 図1五岳山周辺地図

図2五岳山の地質断面模式図

図3火上山のキャップロック地滑り

「善通寺五岳の里」市民集いの丘公園

筆ノ山と我拝師山の北麓にある市民集いの丘公園は、我拝師山山頂北斜面から崩壊した崖錐斜面の麓にあります。崖錐斜面は果樹園に利用されています。

市民集いの丘公園からみた我拝師山写真

大塚池古墳

大塚池の中にある巨石は、6 世紀末~7 世紀初めに作られた直径約25mの円墳です。今では墳丘の土は失われ、火山礫凝灰岩(天霧石)を使った石室が露出し、一部は崩れています。

大塚池古墳

出釈迦寺

四国霊場八十八ヶ所73 番札所の出釈迦寺(しゅっしゃかじ)は、我拝師山にある奥の院の谷から供給された古い土石流扇状地面上に建てられています。土石流堆積物中の礫は、山頂付近の讃岐岩質安山岩と凝灰岩類を主体としています。

出釈迦寺

風穴

我拝師山標高300m付近には、風穴があります。讃岐岩質安山岩の崖錐堆積物中を風が通り抜けているようです。

風穴写真

凝灰角礫岩

基盤の花崗岩を不整合に覆って、讃岐層群の凝灰角礫岩が露出しています。

凝灰角礫岩

安山岩の貫入面

我拝師山は讃岐岩質安山岩が貫入した火山岩頸です。奥の院の駐車場では、凝灰角礫岩に貫入した讃岐岩質安山岩の露頭が観察できます。凝灰角礫岩は北東に約20°傾斜しており、貫入に伴って引きずられて傾斜したと推定されます。
安山岩の貫入面

出釈迦寺奥の院

出釈迦寺奥之院は、我拝師山と中山の間にある鞍部付近にあります。奥の院から我拝師山へ登る尾根道からの眺望は絶景です。

我拝師山写真

捨身ヶ岳

捨身ヶ岳は、弘法大師7歳のとき「我が身を以て諸仏を供養すると念じて断崖より飛び降りた」という伝説に由来しています。この断崖絶壁は、讃岐岩質安山岩の貫入に伴う火道角礫岩から形成されています。

 捨身ヶ岳地質写真

我拝師山山頂

我拝師山山頂には讃岐岩質安山岩の転石(巨石)が点在しています。中には矢穴によって割られた石もあります。

我拝師山山頂

筆ノ山からみた我拝師山は、讃岐富士のような形をした火山岩頸です。北側山麓には崖錐斜面が広がっています。

我拝師山北側山麓写真

筆ノ山山頂・安山岩板状節理

筆ノ山の標高270m付近には、讃岐岩質安山岩の露頭があります。板状節理の面は鉛直に近い高角度、板状節理面の冷却面と平行になるため、マグマは高角度に貫入したと推定されます。

筆ノ山山頂・安山岩板状節理

香色山の流紋岩

香色山では流紋岩が分布しています。流理面と板状節理が高角度であることから、香色山は流紋岩が貫入した火山岩頸と推定されます。

 香色山の流紋岩

香色山山頂

香色山山頂は流紋岩由来の白色をした土に覆われています。香色山山頂には香色山経塚群があり、香川県指定史跡になっています2)。また、香色山の周りを1周できるミニ88 ヶ所には、江戸時代建立の88体の石仏があります。山頂の展望台からは丸亀平野に浮かぶ讃岐富士(飯野山)を眺めることもできます。

香色山山頂

参考文献:

この記事は、文章および写真を下記の参考文献から、著者の許可を得て引用しています。

讃岐ジオサイト探訪(香川大学生涯学習教育研究センター研究報告別冊) 長谷川修一・鶴田聖子著 2013年3月 発行

讃岐ジオサイト探訪五岳山ジオサイトPDF [PDFファイル/6.85MB]


Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)


  • 前のページに戻る
  • このページの先頭へ