本文
稲木本村獅子組の練習風景を取材させていただきました。
集会場に入るとすでに点呼が始まっていました。
稲木本村獅子組では、練習はまず点呼からはじまります。子どもの数は・・・なんと総勢40人ほど。
この点呼の繰り返しで、大人も地域の子どもを覚えていきます。
地域で通り過ぎたときに、気軽に声をかけられる人間関係の基礎はここからはじまっているといえます。
子どもの人数に恵まれている反面、話をきいてもらうのもたいへんなはず。
しかし、頭が話し始めれば、子ども達は私語をやめてしっかりと話を聞きます。
普段から獅子組での決まり事を教えられているのだと思います。
練習開始です。大人達は特段打ち合わせることなく、臨機応変に各役割の指導にはいっていきます。
長年かけて阿吽の呼吸を培っている・・・そんな印象をうけました。
太鼓打ちの練習です。
・・・子どもが多い。
私自身が見たことのある練習風景の中では子どもの人数が最も多いです。
すこし気が緩んだときには、大人達が
「太鼓の前は玄関の前とおなじ。家の玄関の前にいったらどういうふうにするかな?」
といって子ども達の気持ちを引き締めます。
大人達が手をとって、きめ細かな指導をしていきます。
獅子頭のつかいかたも、指導役の他に5人ほどが一度に練習します。
練習用の油単もしっかりとつくられています。
これからの獅子組を担っていく子ども達が、順を追って、各役割を覚えていきます。
そんな中、お母さん達がまかないの準備をしていきます。
これだけの子どものまかないをつくるのは大変な作業です。
外では宮づかいのメンバーが練習をします。
各隊形で、何を考えなければいけないか、どうリズムをあわせるべきか、入念に教えてもらっています。
本番まであと一週間。
そんな中での、宮づかいの練習です。
真剣ななかにも楽しさがみえます。
向こう側の壁際には子ども達がならんで座り宮づかいをする子ども達の練習を見学します。
見ることも大切です。
先ほど外で教えてもらっていたとおり、どう動くかを意識して練習しています。
頭を務める石原さんに、獅子組について聞いてみました。
この地区は幸いにも子どもが多く、こうした環境で獅子舞を続けられることをうれしくおもいます。
この獅子組では、毎年試行錯誤しながら運営をしています。
練習や祭りは子ども達だけではなく参加する大人達にとっても楽なものではないはずなのですが、みんなきちんとあつまってくれます。今教えている大人たちが幼い頃にその当時の大人達がやってくれた指導をおぼえているから、自分たちも動かなければいけないと考え来てくれるのだと思います。
小さい頃教えてもらっていた方のお子さんを教えるときなどは、感慨深いものがあったりもします。
この獅子組で、子ども達はさまざまな経験を通して自然と自分の年齢に応じた役割をおぼえていってくれていると思います。たとえば、練習後のまかないについても、年長者は、年少者にうどんを持って行ってあげたり、数が足りているかなどの確認をしたりしてくれます。特に指示をしないでも、上の世代がやってくれたことを下の世代に伝えていってくれています。
また、年少者の子達もその上の姿を見ながら成長していくんだと思います。
この獅子組では獅子舞をマスターしていく過程も大切ですが、人生で大切なものを学んでいくことも出来ればと思っています。
子ども達は大きくなったら、場合によっては仕事などで地域から出ていくかもしれないし、残る人もいると思います。
でも、みんなの顔を覚え、同じ釜の飯を食べ、一緒にすごした思い出があれば、この音色を思い出して祭りなどにかえってきたくなると思います。
そういうふるさとの思い出をつくることができるあたたかい獅子組にして行ければと思います。
頭のことばどおり、練習のあとの時間もきっと良い思い出になると思います。
獅子舞には熱く、人間関係にはあたたかい、そんな雰囲気を感じました。
稲木本村獅子組の皆さん、取材協力ありがとうございました。
最後になりましたが大河様髪型キマってました。